2014年9月11日木曜日

花いちもんめは「システム」に対するワクチンである

先日、小学生が「花いちもんめ」をしているところに出くわした。

改めて見てみると、花いちもんめって面白い。

やっているうちに、だんだん呪術的な趣きが出てくる。


なんというか、右チームと左チームでメンバー自体はどんどん入れ替わっているはずなのに、それぞれのチーム自体が独立した意志(人格)を持ちだしているように見える。

右チームは左チームに勝ちたいと思っているし、左チームは右チームに勝ちたいと思っている。

それは、人が入れ替わっても持続する。



よくできた遊びだなぁと思う。


個人レベルでは、その場その場の勝ち負けに一喜一憂しているんだけど、それとは別に集団としての勝ち負けがある。

しかも、個人の意志は、どの集団に属するかで180度変わってしまう。集団の意志の中に飲み込まれてしまう。

なんというか、人間というものの不思議さを教えられる。


たぶん、この集合的意識みたいなものは、村上春樹が言っている「システム」というものなんだと思う。


その壁の名前は「システム」です。「システム」は私たちを守る存在と思われていますが、時に自己増殖し、私たちを殺し、さらに私たちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させ始めるのです。(【村上春樹】村上春樹エルサレム賞スピーチ全文(日本語訳)

我々は「花いちもんめ」というシステムを作った。だけど、いつの間にかシステムのために我々が競い合っている。

もちろん、花いちもんめは楽しい遊びだ。

だけど、たぶんこれは、ある意味で社会の縮図なんだと思う。


僕らはある意味で、巨大で複雑な「花いちもんめ」の中で生きている。

そいつらは、資本主義と言ったり、民族自決と言ったり、まあ、いろいろ。

花いちもんめのように楽しくやっているうちはいい。

だけど、気を付けないと「システム」は僕ら人間に憎しみ合ったり、殺し合いをさせたりする。


だから村上春樹は言っている。

「システム」がわれわれを食い物にすることを許してはいけません。「システム」に自己増殖を許してはなりません。「システム」が私たちをつくったのではなく、私たちが「システム」をつくったのです。(【村上春樹】村上春樹エルサレム賞スピーチ全文(日本語訳)
(なんだか話が大きくなってきた)


だから、「花いちもんめ」って怖いなぁと言っているんじゃなくて、こういう遊びは社会に対する「ワクチン」みたいなもんなんだろなぁ、と思うわけです。



そういうことを遊びの中に取り入れてきた昔の人はすごいと思う。


(今回書いたことは、あくまでも「花いちもんめ」の面白さの一部です。ふと思ったことを備忘録的に書いただけです)



2014年9月6日土曜日

ゴーシャマダー

人もまばらな帰り道。

ようやく駅にたどり着く。

改札くぐるその耳に、

ふと聞こえるその言葉、

「ゴーシャマダー」。


僕は思わず立ち止まり、


心の中で口ずさむ。


「ゴーシャマダー」


夜を横切る電車の中、

何故か頭から離れない。

「ゴーシャマダー、ゴーシャマダー」




優しく響くその言葉。


疲れた心が癒される。



浅くまどろむ闇の中、


僕はふと気が付いた。



あれはたぶん、


「ご乗車ありがとうございまーす」だったんだろう。