いつか、僕は「宮部みゆきの小説はあまり大きな事件が起こらない」的なことを描いたことがあるけど、あれは嘘です。
今回は(というか、前作『名もなき毒』も)割と大きな事件が起こっている。
よく考えれば、(小説は読んだことないけど)『模倣犯』とか結構大事件だった気がする。(映画は見た)
それでも、宮部みゆきの小説は、事件そのものよりも、その事件が起こった背景の闇の部分をより重要視しているような気がする。
その事件が起こったという事実は、氷山の一角でその背後にはとてつもなく恐ろしい闇が広がっているということを意識せずにはいられない。
まぁ、そんなところです。
ここからネタバレ注意です。
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この『ペテロの葬列』は、Amazonやらブクログやらのレビューを見ていたら、割とネガティブな感想が多いようでした。
どうやら、最後の最後のどんでん返しが、衝撃的だったわけで、残念に思った人が多かったようです。
僕も、最初読んだとき、衝撃の結末にガツーンと凹まされた。
だけど、そのあと、エピローグを読むと、何故か爽やかな気分になった。
不思議です。
(レビューサイトを見る限り爽快感を覚えた読者は少数派のようですが)
なんでこんなに爽やかな気分になるんだろうと考えてみた。
僕が思うに、なんとなく菜穂子の行動は、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』のクミコと重なる部分がある。
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菜穂子は、『ねじまき鳥』のクミコのように必死に何かを訴えかけようとしていたと考えるべきじゃないだろうか。と思う。
つまり、菜穂子はこのような形でしか、二人の関係を前に進めることができなかったんじゃないだろうか。(『ねじまき鳥』のクミコのように)
もちろん、褒められたやり方じゃないし、もっとうまいやり方があったとは思うけど、結果的に人生を一歩進めることができたのは、菜穂子の行動だったことは否定できない。
(いや、他の人ならもっとうまいやり方があったかもしれないけど、菜穂子に限って言えば「他の手段」はありえなかったという気もする。これが菜穂子がとれる「唯一の手段」であったとみるべきか。)
それに、こんな結末になったのは、結局、自分自身で人生を一歩進めることができなかった杉村自身の責任でもある。
ある意味では、そういう汚い役を菜穂子に押し付けてしまったともいえる。いや、あえて菜穂子が汚れ役を買って出たといってもいいかもしれない。
だけど、そういう風に菜穂子変えた(いい意味でも悪い意味でも)のは杉村だし、二人が結婚したことは大きな意味があった。(それはエピローグでも語られている。)
もともと、杉村も菜穂子も問題を抱えていた。二人とも器用じゃない。不器用だけど、もがきながら、誰かを傷つけながら、ようやく物語を一歩前に推し進めることができた。
そういう達成感がある。
だから清々しい。
僕はそう思います。
これは、ネガティブな物語ではなく、かなりポジティブな物語と捉えるべきだと思う。
ただし、今回は(と言うより今回も)杉村はあくまでも受け身でした。
主体はあくまで菜穂子でした。
次のステップがあるとすれば、今度は杉村自身が自らの意志で菜穂子を迎えに行く、そういう物語だと思います。
僕はその物語を楽しみにしています。
very good
返信削除I like your point of view
返信削除不要說宮部太殘忍、
返信削除她其實都有留點伏筆在暗示杉村的未來仍然是有希望的
希望莊那段、養老院裡死掉的老人年輕時和杉村一樣的遭遇、
被妻子背叛、被迫與骨肉分散、一個人流浪去
說慘、已經慘到不行了
但是、這老人被人尊重、被照顧他的護士們深深的尊重、私底下被叫做紳士、這是對於又老又病幾乎無法自理的老先生最高的讚禮
不只如此、這老人還心存善念
就算是對殺人犯、他了解這是衝動殺人、不是更邪惡的那種預謀殺人、所以希望給兇手自首的機會、一個重新做人的機會
最後老人雖然病死了、
他的兒子孫子理解到父親祖父不但不是殺人犯、而是一個願意照顧他人的好人、一個人格高尚的好人
這就夠了
雖死猶榮、讓人永遠懷念、即使是那麼少少幾個人的思念尊敬
已經足夠
我們都希望完美大結局、但是當結局不如預期時、
我們要了解這不是我們可以控制的
可以控制、可以做到的是沒有對不起自己良心
然後、因為善良所以才能做出最正確的決定
在偵破案件之後、杉村繼承的不是老人的悲傷、而是透過理解老人的寬容睿智、來贏得他家人真誠的感激
那些沒有說出口的感情都由此得到傳達