えらい人気のようで、昨年10月に図書館で予約してたら、今年2月になってようやく借りれた。
が、どうやら僕には、三浦しをんは合わないようだ。
以下、ネタバレアリ。
辞書作りの大変さが伝わってこない
この物語では何を重点的に描かれているかと言うと、やっぱり主人公たちの言葉の捉え方だと思う。彼らが人生の節目節目でどういう言葉を重視しているか。
言葉と言うものをどうとらえているか。
それを描くことで、「言葉って素敵だね」ということを伝えたいんだろうなぁ、と思う。
なので、登場人物たちの節目節目の言葉の捉え方に対して、やりすぎなくらい重点を置いている気がする。
だけど、辞書作りの描写については、ただ表面をなぞっているだけような印象がある。
だから、とってつけたようなトラブルが発生して、なんとなく「頑張り」でクリアしているような印象がある。
会社として辞書作りをどう考えているのかわからない
この物語は辞書作りの部署周辺の行動しか描かれていなくて、会社として辞書作りをどうしようとしているのかあまり見えない。
一応、「辞書作りは一旦できあがると利益が出る。また出版社として名誉である。だけど、時間とコストがかかるので乗り気でない勢力による妨害もある」という説明はある。
だけど、物語の中で会社内の勢力争いみたいなのが出てこない。
最初の方にちょっとした「辞書作り妨害」があるけど、いつの間にか消えてなくなっている。
別に『半沢直樹』みたいなドロドロしたやつを期待しているわけではないけど、あまりにもその辺の描写がないので、辞書作りに対するリアリティに疑問を感じてしまう。
もちろん、ただたんにその辺は描いていないだけで、実際は裏で会社がいろいろ動いているかもしれないけど。
ただ、僕の想像力ではその辺は補間できない。
言葉の大切さを伝えたい物語
この小説は、「言葉の大切さを伝えたい」というのはすごくよくわかる。
ただ、それが先走りすぎて物語がそれに引っ張られすぎている感じがする。
登場人物たちに、「言葉の解釈」について、いろいろ語らせるために、辞書作りという設定を持ってきたんだろうなぁ、という印象がどうしてもしてしまう。
それだったら、別に小説じゃなくて、エッセイでもいいじゃないかなぁと思ってしまう。
そういう風に思うと、物語に入っていけずに、なんとなく白けてしまう。
雰囲気は悪くない
ただ、雰囲気は悪くない。
なんとなく好感を持てる。嫌味な感じは全然しない。
ヒロインが宮崎あおいだったらドキドキするだろうなと思う。
だから、好きな人が多いのもよくわかる。
ただ、僕には少し合わないんだろうなと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿