2014年1月17日金曜日

【感想文】『恥知らずのパープルヘイズ』/過去の自分自身の救済の物語

読んだ。

恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-
上遠野 浩平 荒木 飛呂彦
集英社 (2011-09-16)
売り上げランキング: 2,711


5部の途中で離脱したフーゴのその後を描いた小説。

ぼくは、作者がフーゴを題材にした気持ちがとてもよくわかる。


フーゴは人生において一番大事なところで一歩を踏み出せなかった。

物語の中から唐突に姿を消し、それ以降本編に一度も登場しなかった。

あまりにもあっけなく消えてしまったので、逆に心に引っかかってしまう。


たぶん彼は、かつて勇気を出せずに立ち向かえなかった僕自身だ。

フーゴの欠落は、僕自身があのとき一歩を踏み出せないがために生じた欠落だ。


たぶん、だれしもそういった欠落を抱えているんじゃないだろうか。


勇気を出せなかった後悔。

誰かを裏切った後ろめたさ。



きっと作者も、フーゴの物語を書かずにはいられなかったんだと思う。

物語の中でフーゴを救済することは、一歩を踏み出せなかった過去の自分を救済することに他ならない。



そして、『恥知らずのパープルヘイズ』は、作者自身のための物語だ。


僕のための物語ではない。


僕は僕自身のパープルヘイズの物語を創らないといけない。

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