上遠野 浩平 荒木 飛呂彦
集英社 (2011-09-16)
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5部の途中で離脱したフーゴのその後を描いた小説。
ぼくは、作者がフーゴを題材にした気持ちがとてもよくわかる。
フーゴは人生において一番大事なところで一歩を踏み出せなかった。
物語の中から唐突に姿を消し、それ以降本編に一度も登場しなかった。
あまりにもあっけなく消えてしまったので、逆に心に引っかかってしまう。
たぶん彼は、かつて勇気を出せずに立ち向かえなかった僕自身だ。
フーゴの欠落は、僕自身があのとき一歩を踏み出せないがために生じた欠落だ。
たぶん、だれしもそういった欠落を抱えているんじゃないだろうか。
勇気を出せなかった後悔。
誰かを裏切った後ろめたさ。
きっと作者も、フーゴの物語を書かずにはいられなかったんだと思う。
物語の中でフーゴを救済することは、一歩を踏み出せなかった過去の自分を救済することに他ならない。
そして、『恥知らずのパープルヘイズ』は、作者自身のための物語だ。
僕のための物語ではない。
僕は僕自身のパープルヘイズの物語を創らないといけない。
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