(ブクログに書いた内容をまとめたような感じです)
読書の秋ですが、読んだのは初夏です。。。
ネタバレ含みます。ご注意を。
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この物語は「愛と意志の力で運命に立ち向かうラブストーリー」だと思います。
これだけを文字に起こしてみると非常に陳腐ですが、まあ、つまりそういうことなんだと思います。
運命について
この物語にはたくさんの不思議な現象が起こります。なかでも「リトルピープル」が重要な役割を担っています。
ぼくは、「リトルピープル」はそこらへんに充満している「悪い予感」や「嫌な空気感」みたいなものなんだと思います。
例えば、僕が何か新しいことを始めようとしたとします。
すると友人が「失敗するからやめとけよ」と忠告してくれます。
僕はだんだん不安になってきます。
些細なことが気になり始め、あらゆるものが「やめとけ」と言っているように見えてきます。
この「なんとなく嫌な予感」や「不穏な空気」みたいなものが「リトルピープル」なんだと思います。
このリトルピープルに対抗するのが「愛」と「意志」の力なんだと思います。
意志の力
この小説の中で出てきた僕の好きな言葉が「チェーホフの裏をかけ」というセリフです。
チェーホフは「物語に拳銃が出てきたらそれは発射されなければならない」と言った人です。
『1Q84』には、不吉な象徴として「拳銃」がでてきます。
チェーホフの原理でいうと、そのままでは弾が発射されてしまいます。
そこで、登場人物のタマルは「弾が発射される前に回収される状況」を提示します。
つまり、チェーホフの原理でいうなら、「物語の中で、拳銃が回収される状況が提示されたなら、拳銃は発射される前に回収されなければならない」わけです。
ちょっとややこしいですが、「チェーホフの裏をかけ」というのはそういう意味だと思います。
「拳銃が発射される運命」が勝つのか、「発射されずに回収される運命」が勝つのかそれはわかりません。
しかし、何もしないで「拳銃が発射される運命」に従うよりましです。
うまくいくかもしれない、いかないかもしれない。それでも僕らはただただ運命に流されるのではなく、自ら運命を切り開いていくことだってできる。
運命を切り開こうとする強い意志が、拳銃というリトルピープル的存在に対抗する力の一つだと思います。
愛の力
リトルピープルに打ち勝つためのもう一つの力はやはり「愛」です。
「1Q84」へ迷い込んだ青豆と天吾はあるときお互いが同じ「二つの月」を見ていることを知ります。
「1Q84」なんて得体のしれない世界において、同じものを見ているという実感は、とても心強いものなんだろう。
1Q84だろうが、1984だろうが、はたまた1球84だろうが、確実な世界なんてどこにもない。
僕らは不確かな世界で生きていくしかない。
だからこそ、そんな不確かな世界の中から同じものを見つけ出せる相手と巡り合い、共に生きることがとても重要なんだと思います。
どんなにリトルピープルが邪魔をしようが、再び離れ離れになろうが、また同じ月を見つけ出せる。
そういった関係が、つまり「愛」なんだろうと思いました。
まとめ
僕らの生きている世界にはリトルピープル的存在に満ちている。
だけど、自分の手で運命を切り開けるんだという力強いメッセージを感じました。
※村上春樹の物語はとても示唆に富んでいます。僕の解釈とはまた別の解釈も当然あると思います。
僕の解釈に対するご意見や、「こんな見方もあるよ」っていうのがあればぜひ教えてください。
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