2013年7月13日土曜日

セブンカフェのデザインはまっとうなデザインだと思う

はてぶで以下のリンクがにぎわっておりました。



おや、全国のセブンカフェのようすが・・・



リンク先のように、佐藤可士和によるセブンカフェのデザインが盛り上がっているようです。


「シンプルすぎてわかりにくい」

「使いにくいので結局テプラを張られてしまっている」

とか。



これらの批判は、ネタとしてはとてもとても面白い。




けど、僕はこのデザインは、かなりまっとうで妥当なデザインだと思う。


別に、佐藤可士和が大好きなわけでも何でもないけど。


以下、その考察。




シンプルすぎるデザインについて


シンプルすぎてわかりにくいという批判もあるようだけど、結果的にはテプラを張ればわかりやすいデザインになっている。


シンプルなために、テプラを張るのに十分なスペースがある。


しかも、張ったテプラがしっかり目立っている。


そして田舎のコンビニは、テプラを張ることでちゃんと田舎っぽくなっている。




デザイナーとしては、テプラを張られることを想定していたかどうかはわからない。


せっかくかっこいいデザインが台無しにされたことに腹を立てるかもしれない。


だけど、張ったテプラが目立つのは、このシンプルなデザインのおかげだ。



世の中には、テプラを張る余地さえないゴチャゴチャしたデザインがあふれている。


そういう意味では、テプラを張って、店舗ごとにカスタマイズできるのは「拡張性の高いデザイン」と言えるのかもしれない。






R(Regular)L(Large)表記について


コーヒーのサイズについて、R(Regular)とL(Large)という表記がわかりにくい批判されているようだ。

この点について、以下のように問題を分けられると思う。


  • なぜ英語なのか
  • なぜM(Medium)、L(Large)ではないのか
  • なぜピクトグラムではないのか


なぜ英語なのか


英語表記がわかりにくいという批判もあるようだ。


「日本語の方がわかりやすい」と。



もちろん、日本人向けだけだと日本語の方がわかりやすいと思う。


だけど、たぶんセブンイレブンは日本に来る外国人や、海外店舗に置くことを想定しているんだと思う。

グローバルな企業にとっては当然の考え方だと思う。


グローバルに展開する場合、言語として採用するには(好き嫌いはあるとしても、今のところ)英語が妥当なところだと思う。


”国内にも、海外にも同じものを置く”ことの是非はともかくとして(そしてそれは僕の勝手な推測だけど)、デザイナーはその戦略に見合うものをデザインしたんだと思う。


なぜM(Medium)、L(Large)ではないのか




「Regularという表記がわかりにくい」

「MLの方がしっくりくる」

という批判もあるようだ。


だけど、Mっていうのは「Medium」のことだから、S(SmallあるいはShort)が存在しないのにMとLだけ存在するというのは原理的におかしい。

MとLだけしか存在しないのではあればそれはMではなくSだ。


じゃあなぜ、「SL」にしないのかという問題も生じてくる。


「大小」の概念は比較でしかない。


まず基準になるものがあって、それより「大きいか」「小さいか」となる。

だから、基準としてのRegular(標準)があって、それより分量が多いLargeとするのは、自然な流れだと思う。




別にSLでもいいと思う。

でも2種類しかないのにわざわざ「小さい」と言ってしまうと、客を損した気分にさせる。

お店は少しでも商品をよく見せたいものだ。






なぜピクトグラムではないのか




言語に関係なくわかりやすくするには、ホントはピクトグラムの方がいいのかもしれない。


だけど、「大きさ」と言う概念を、万人に誤解なくピクトグラムにするのはとても難しいと思う。


ちなみに、僕がコーヒーのサイズ(大、小)のピクトグラムを考えると、下のようになった。



レギュラーサイズ(左)とラージサイズ(右)をピクトグラムにしてみた
レギュラーサイズ(左)とラージサイズ(右)をピクトグラムにしてみた


なんだこれは。。。

大きいのと、小さいのとはわかるけど、これがレギュラーサイズとラージサイズを表しているとは到底思えない。

レギュラーサイズのピクトグラムは、ラージサイズのピクトグラムを見ないとそれが「より小さい」ことがわからない。

レギュラーサイズのピクトグラムは独立してその意味性を持たない。。。


これでは、絶対トラブル続出だ。


店舗側も、こんなデザインの機械を置かれたら迷惑千万だと思う。



もちろん、僕はデザイナーではないので、かなりひどいデザインだ。


だけど、万国共通で誤解を生まないピクトグラムを作るのはとても難しいと思う。



特に、売買というシビアな場所で、下手なピクトグラムを使ってしまって誤解が生じると、それはかなり面倒だ。


店舗側もそんなリスクをしょいたくないと思うし、経営側もそんなコストをかけたくないだろう。


だから、デザインとしては最低限、分量についてのトラブルが起こってしまった場合に

「ここにちゃんとRegularって書いてあるでしょ」

と言えるものが必要だった。


だから、確実な「文字」を使う方を選んだんだと思う。




デフォルトで使えるもの


人によっては使いづらさがあるものの、『セブンカフェ』はデフォルトの状態で使えるようになっている。


これは大きなポイントだと思う。


地域差、客層の差があることは初めから分かっているからといって、例えばデフォルトはのっぺらぼうの状態で、各店舗で説明書きを加えないと使い始められないというのでは、コストもかかる。


機械が店舗に来て、カウンターに置けばとりあえず使えるというのは大事だと思う。

(もちろん、電源とか水道とか諸々の設定は必要だろうけど)




まとめ



というわけで、僕はこのデザインは至極まっとうで妥当なものだと思いました。


(セブンカフェとか使ったことないけどね! それはともかくとして。)


なんというか、万人に使いやすいデザインって、本当に難しいんだろうなぁと思う。

こうやって考えてみると、デザインって奇抜でかっこいいモノと言うよりは、お店側か経営側とか客とかいろんな人の思惑の妥協点を探っていく、結構地道で泥臭いもんだなと思う。


(そもそも、セルフサービスじゃなくて、店員がコーヒー入れてくれたらこんなデザインいらないわけで。でも店員の教育やらなんやらのコストを考えるとセルフにした方がコスト安いし、その分コーヒー自体も安くなるし。だからデザインが必要になってくるわけで・・・)



そして、出来上がったモノを見ると、「妥当だなぁ」と思ったりするけど、”無”の状態からその”妥当”なところに落ち着かせるというのは、とても難しいんだろうなぁと思う。


デザイナーってすごい。

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