そして、蝶は蝶の国で暮らし、芋虫は芋虫の国で暮らしていました。
美しい蝶は醜い芋虫が大嫌いでした。
地道に生きている芋虫は、ひらひら飛んでいる蝶が大嫌いでした。
蝶と芋虫は互いにいがみ合い、いつも戦争ばかりしていました。
蝶と芋虫は、何百年、何千年もの間戦争をつづけていたので、やがてどちらの国もあと少しで滅びてしまうというところまで来てしまいました。
このままでは、大変なことになると思った蝶の国と芋虫の国は、それぞれ神様のもとへ遣いを出しました。
蝶の国の遣いと芋虫の国の遣いに、神様は言いました。
「それでは、お前たちを一つの生き物にしよう。
芋虫はその生涯を終えるとき、さなぎとなり蝶になりなさい。そして蝶は芋虫の卵を産みなさい。
芋虫は、より立派な蝶となるためにたくさんの葉っぱを食べなさい。蝶は遠くまで行くことができない芋虫のためより遠くにたくさんの卵を産みなさい。
そうすることで、お前たちはこれから素晴らしい繁栄を遂げることになるだろう」
そうして、蝶と芋虫はひとつの生き物となりました。
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