「いまどき結婚はスマートに」
みたいな広告を見かけた。
僕はこの広告を見て、ものすごく違和感を覚えた。
「スマートな結婚式」だったらなんとなく理解できたかもしれないけど、「スマートな結婚」という部分に引っかかってしまった。
そして、その違和感の正体を探ってみた。
※ここでは「結婚」について書いています。「結婚式」のことではないです。あしからず。
先日、内田樹先生の『下流志向』という本を読んだ。
内田 樹
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その感想→【感想文】下流志向/先人へのリスペクトは大事
その中で、リスクヘッジについて書かれていた。
要約するとこんな感じだった。
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現代社会は、空前のリスク社会である。
我々は、様々なリスクにさらされている。
それは、しきりにアナウンスされている。
しかし、だれも”リスクヘッジ”については教えてくれない。
さらに、個人はコミュニティから切り離され、バラバラに分断されている。
我々は、個人でこのリスクに対面している。
しかし、”リスクヘッジ”は個人では成立しない。
”リスクヘッジ”とは、「誰かがつまずいたときに、他の誰かが支える」ことで成り立つ。
だから、”リスクヘッジ”には最低二人以上の関係が必要だ。
しかも、それは、”利益最大化”の関係ではうまくいかない。
”利益最大化”では、「誰かがつまずいたとき、そいつを切り捨てること」が合理的な判断となるからだ。
”リスクヘッジ”は「その関係を結ぶことで誰も得をしない(むしろみんなが損をするような)方法」でしか成立しない。
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※この辺りは、僕が説明するといまいちピンと来ないかもしれないので、ぜひ『下流志向』を読んでみてください。
「結婚」は、個人における最強の”リスクヘッジ”だと思う。
まさに
”健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くす”
ためにある。
また、個人と個人だけでなく、親族を含めた強力な”リスクヘッジ”となる。
それをより強固なものにするには、より泥臭く、よりしがらみが強くなる方法で、結婚する方がよい。
制約と誓約。
”しがらみ”が強いほうが、”リスクヘッジ”は強力になる。
だから、結婚はスマートたりえない。
「結婚式」をスマートにするのはありだと思う。
バブルのころみたいに無駄に派手にする必要はない。
ただ、「結婚自体」には親族、友人を巻き込んだ方が”リスクヘッジ”という面でいいと思います。
そして、式はそのための手段の一つだと思う。
昔みたいに、親族たくさん呼んで、めんどくさい感じにした方が、実は”リスクヘッジ”としてより強力になる。
昔の人は偉い。
まぁ、自分の結婚の時は、そんなことを考える余裕はなかった。
めんどくさい「しがらみ」はすっ飛ばしてしまいたかったというのが正直なところです。
だけど、今は、しがらみというか、つながりみたいなのをもう少し大事にしたいと思う。
そして、そのめんどくささを少し楽しめるようになってきた。
結婚を”リスクヘッジ”としてばかり考えるのも、それはそれでつまらないと思いますが、ひとつの視点として。
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