2013年4月27日土曜日

スマートな結婚について

先日、結婚斡旋会社の広告で

「いまどき結婚はスマートに」

みたいな広告を見かけた。


僕はこの広告を見て、ものすごく違和感を覚えた。

「スマートな結婚式」だったらなんとなく理解できたかもしれないけど、「スマートな結婚」という部分に引っかかってしまった。



そして、その違和感の正体を探ってみた。


※ここでは「結婚」について書いています。「結婚式」のことではないです。あしからず。


先日、内田樹先生の『下流志向』という本を読んだ。



下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
内田 樹
講談社
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その感想→【感想文】下流志向/先人へのリスペクトは大事


その中で、リスクヘッジについて書かれていた。

要約するとこんな感じだった。

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現代社会は、空前のリスク社会である。

我々は、様々なリスクにさらされている。

それは、しきりにアナウンスされている。

しかし、だれも”リスクヘッジ”については教えてくれない。


さらに、個人はコミュニティから切り離され、バラバラに分断されている。

我々は、個人でこのリスクに対面している。


しかし、”リスクヘッジ”は個人では成立しない。

”リスクヘッジ”とは、「誰かがつまずいたときに、他の誰かが支える」ことで成り立つ。

だから、”リスクヘッジ”には最低二人以上の関係が必要だ。


しかも、それは、”利益最大化”の関係ではうまくいかない。

”利益最大化”では、「誰かがつまずいたとき、そいつを切り捨てること」が合理的な判断となるからだ。


”リスクヘッジ”は「その関係を結ぶことで誰も得をしない(むしろみんなが損をするような)方法」でしか成立しない。
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※この辺りは、僕が説明するといまいちピンと来ないかもしれないので、ぜひ『下流志向』を読んでみてください。




「結婚」は、個人における最強の”リスクヘッジ”だと思う。

まさに


”健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くす”

ためにある。



また、個人と個人だけでなく、親族を含めた強力な”リスクヘッジ”となる。


それをより強固なものにするには、より泥臭く、よりしがらみが強くなる方法で、結婚する方がよい。

制約と誓約。

”しがらみ”が強いほうが、”リスクヘッジ”は強力になる。


だから、結婚はスマートたりえない。



「結婚式」をスマートにするのはありだと思う。

バブルのころみたいに無駄に派手にする必要はない。

ただ、「結婚自体」には親族、友人を巻き込んだ方が”リスクヘッジ”という面でいいと思います。


そして、式はそのための手段の一つだと思う。


昔みたいに、親族たくさん呼んで、めんどくさい感じにした方が、実は”リスクヘッジ”としてより強力になる。


昔の人は偉い。





まぁ、自分の結婚の時は、そんなことを考える余裕はなかった。

めんどくさい「しがらみ」はすっ飛ばしてしまいたかったというのが正直なところです。

だけど、今は、しがらみというか、つながりみたいなのをもう少し大事にしたいと思う。

そして、そのめんどくささを少し楽しめるようになってきた。




結婚を”リスクヘッジ”としてばかり考えるのも、それはそれでつまらないと思いますが、ひとつの視点として。

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